マチネの終わりに

 

昔は信じて疑わなかった。

人間には必ず“運命の相手”がいて、いつかその人と結ばれるんだって。

 

でも、年を重ねるうちに"運命"なんて後付けで、結局人間は愛そうと思えば誰でも愛せるし、結婚や恋愛はタイミングの問題なのではないかと思うようになった。

 

 

 

 

この物語は、付き合うとかセックスとか、結婚すらも超えた愛の話。

形にとらわれずただ好きというプラトニックな愛情を持ち続けることもあるのだということを教えてくれた。

 

この物語の彼と彼女は距離が離れていても心が共鳴している。音楽とか芸術みたいな言葉では伝わらないものが、2人をつなぎとめている。そんなにも波長があう2人なのに彼にはもう家庭があって彼女にも自分の仕事があって一緒になれない。

 

物語に登場するアランフェス協奏曲。哀愁帯びた戦慄を奏でる柔らかなクラシックギターの音色の温かみが、一層胸を苦しくさせる。お互い好きだけど、一緒になれない、その行き場のない想いってどこに行くのだろう。

 

 

 

どうしますか?

今までで一番好きになった人が、既婚者だったら。

一番好きな人と結ばれないってそんなの、耳を塞ぎたくなる現実だな。

サンタさんはパパだよって聞いた時と同じ感覚。

今まで自分が信じていた夢を壊されたみたい。